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  • 18 Jun 2010

    僕が最も好きなミュージシャン! パット・メセニーのライヴに行ってきました。

    Pat Metheny

    一言で言うと「音楽界の神」という言葉がぴったりなアーティストです。本当に失神寸前になりました。毎回、新たな試みを見せてくれるメセニーですが、今回は、またまた素晴らしく、55 歳にして一番アヴァンギャルドな表現をしていました。「オーケストリオン」と名付けられたハイテクとローテクの融合した、ギター 1 本で全ての楽器を演奏できるマシーンを使って、一人オーケストラのようなライヴツアーなのです。それでは、少し語らせて下さい。

    「オーケストリオン」と言うアルバムは、まさにメセニーの想像力と創作力が見事に結集した驚きの 1 枚でした。これは、簡単に言ってしまうと巨大な自動演奏機械の創作ですが、一体誰がこんな発想をするのでしょうか。そもそもこの夢は、少年時代に叔父の家にあった、足踏み式で動力源の空気を貯める自動ピアノに夢中になってしまった記憶が原点にあるそうです。メセニーのメカニズムへの好奇心の強さが、メセニー・グループの演奏の即興的な音楽が柱にあっても、その当初から綿密に構成された世界が、いつもあるところに感じられます。むしろこうした細部にこだわり、大きな全体を構築するところに、メセニー音楽の真の魅力があると思います。普通は、こうした創作の行き着く先は、多重録音とか楽器のサンプリング音で構成された擬似演奏音楽になりますが、メセニーはそうしないのです。生の楽器の音を即興的に操作するシステム、つまり、かつてあった自動演奏装置を現代の技術で再構成し、より巧妙に音を繰り出すだけではなく、そこに新しい機能も付加しているのです。メセニーはこのプロジェクトにかなり時間をかけたらしく自動演奏の機械的な動作を正確、緻密にするために様々な技術開発の依頼をして、それがこの機械に結集されているそうです。しかし、それでも人ではなく機械が演奏する、この音楽に違和感を覚える人が多いでしょう。人にしかできない微妙な技、繊細な音は、どうやっても機械では再現できないはずです。それは音楽とは言えないんじゃないかという疑問が拭い去れない。けれど一方で、トーマス・エジソンによるレコード誕生以後、花開いた 20 世紀の音楽文化が行き着いた先は、デジタル技術によってプログラミングされた音楽を高性能の再現装置によって楽しむという、これもまたオルゴールに似た仮想音楽とも言えないだろうかとも思う。このメセニーの「オーケストリオン」は、その隙間をついた試みのように感じています。第 1 に楽器の生音が呼び起こす不思議な感覚、次に、それを即興的に操作しパフォーミング・アートとしての音楽の魅力を新しい発想で再生すること。この巨大な装置は、単なる自動演奏装置と言うよりも、むしろ、ギターが様々な音を作り出す新しいアタッツチメントのようなものと考えたら良いのではないでしょうか。むろんこれは音の創作ではなく、音楽の創作の領域まで踏み込んでいて、しかも、これは現代のデジタル技術による仮想音楽製作装置では不可能な領域にふみこんでいるのです。やはり今の時代、ハイテクとローテクのギャップや融合こそが新たな道への鍵になるのではないでしょうか? そんなメッセージを僕はメセニーから痛烈に与えられました。

    少し語り過ぎましたが、写真を見ながらライヴの雰囲気を想像してみて下さい。映像技術も世界トップクラスです。メセニーの経歴を軽くご説明させて頂きます。まず、18 歳でマイアミ大学の最年少教師。19 歳で、バークリー音楽院で最年少教師。17 個ものグラミー賞獲得。パット・メセニー・グループとしては、現在 7 枚連続グラミー賞獲得中。どうですか? 彼は「音楽の神」なのです。僕的に。是非 1 度アルバムを聞いて下さい。特に、おすすめは「The way up」「We live here」最高ですよ!!!!!!

    中澤

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